身近かつ気軽に行え、学生などにも人気のコンビニアルバイトだが「とりあえず稼げればいいや」と、そもそも自分が働いているコンビニのビジネスモデルについてよく知らない人も少なくないかと思う。
この記事では、そんなコンビニのビジネスモデル・収益の上げ方について簡単に解説していく。
コンビニはロイヤリティビジネス
コンビニ本部とオーナーとアルバイトの関係
まず、フランチャイズ本部とコンビニオーナーは個人事業主としての契約となる。そして、個人事業主契約をした各店舗のオーナーがアルバイトを雇う事となる。
コンビニオーナーは毎月、(売上から原価を引いた)粗利を元に本部へロイヤリティを支払う事になっている。
そして、報酬支払いまでの流れは大体以下のようになる。(某有名系列店の場合。全系列店でこのシステムかどうかは不明。)
- まず、毎月の売り上げを本部へ送金
- ロイヤリティが引かれた後、オーナーへの報酬と人件費(アルバイトに支払う給料)が支払われる
オーナーが本部に支払うロイヤリティは60~70%
コンビニオーナーが本部に払うロイヤリティの額は売上から原価を引いた粗利の60~70%程度と言われる。
コンビニ会計
本来なら売り上げから全ての仕入れ原価を引いた額が粗利となるが、コンビニ会計の場合は売り上げから「売れた商品のみの原価」を引いた額が粗利となる。
売上-(仕入)原価=粗利
コンビニ会計
売上-(売れた商品分の)原価=粗利
コンビニ会計でロイヤリティが増える
コンビニ会計を採用した結果どうなるかと言えば、結果的にコンビニオーナーが本部へ支払わなければならないロイヤリティの額が大きくなる。
例)「100円の商品」を「原価70円で300個仕入」れ「250個売れた」とすると、
通常の場合
100×250(売上)-70×300(仕入れた商品の原価)=25000-21000=4000円(粗利)
4000×60%=2400円(ロイヤリティ)
コンビニ会計の場合
100×250(売上)-70×250(売れた商品分の原価)=25000-17500=500円(粗利)
7500×60%=4500円(ロイヤリティ)
と、このように本部に有利なシステムが採用されている。
店を出せば出すほど本部が儲かる
全国のコンビニ店舗総数
全国のコンビニ総店舗数、売上高、客単価の統計は以下のようになる。(店舗数は毎年12月のデータを元に作成している。)
2008 | 2009 | 2010 | 2011 | |
総店舗数(12月) | 41,714 | 42,629 | 43,372 | 44,397 |
売上高(百万円) | 7,857,071 | 7,904,193 | 8,017,551 | 8,646,927 |
客単価(円) | 591.5 | 578.6 | 577.1 | 605.2 |
2012 | 2013 | 2014 | 2015 | |
総店舗数(12月) | 46,905 | 49,335 | 52,034 | 53,004 |
売上高(百万円) | 9,027,205 | 9,388,399 | 9,735,214 | 10,206,066 |
客単価(円) | 605.8 | 606.4 | 606.1 | 609 |
2016 | 2017 | 2018 | 2019 | |
総店舗数(12月) | 53,628 | 55,322 | 55,743 | 55,620 |
売上高(百万円) | 10,507,049 | 925,553 | 968,999 | 969,732 |
客単価(円) | 611.8 | 640.5 | 663.3 | 655.4 |
(日本フランチャイズチェーン協会資料、コンビニエンスストア統計時系列データ(2017年~2019年)、コンビニエンスストア統計時系列データ(2008年~2016年)より)
ここ十年で1万2000店舗以上のコンビニフランチャイズ店が全国で増えている。そして、全国の各コンビニフランチャイズ店から毎月本部へロイヤリティが入るのだ。
コンビニのひしめき合いが生まれる
このロイヤリティシステムとコンビニ会計の採用で、本部は店舗を出せば出すほど儲かる仕組みになっている。(地域によっては例外もあるだろうが)「自分の自宅や職場、よく訪れる場所の半径数百メートル以内に一体いくつのコンビニがあるのか」考えてみれば良い。ここ十数年~数年で複数の系列店が狭い範囲内にひしめき合っている地域も少なくないかと思う。時に異常ささえ感じる。
また、「ドミナント戦略」と呼ばれるものが採用される地域もある。特定の1つの系列店が、ライバル店を押し出し優位性を確立する為に特定の地域・範囲に多数のフランチャイズ店を出すものだ。
しわ寄せはオーナーとアルバイトへ
疲弊するコンビニオーナー
先程も触れたように、コンビニオーナーは毎月本部へのロイヤリティの支払いに追われる。アルバイトを雇い過ぎて人件費がかさんでしまえば、アルバイトに給料を支給する余裕も無くなってしまう。そこで、人件費を削る為にオーナー自らがシフトに入る事が増える事になる。
また、先程も触れたようにコンビニオーナーは個人事業主となる為、本部はオーナーを長時間労働させ放題となる。
>>>「個人事業主」と言う自由な働き方の落とし穴。安易な選択は危険 | Mi Life Sta-ill
管理人がアルバイトしていた店舗でもオーナーがシフトに入るのは日常茶飯事であり、常に忙しそうであった。
>>>【コンビニバイト体験談】コンビニオーナーは常に忙しそうだった
薄給で雇われるアルバイト
この影響は当然、末端のアルバイトにも出てくる。
経営が苦しくなれば当然アルバイトも薄給で雇われ安くなるし、長時間労働などの問題も起きやすくなる。低賃金で雇える外国人がコンビニで多く働いているのには、こう言った事情もある。